『Dreams of Another』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはPS5版ね。
PSVR2は持ってないので平面の世界でプレイ。
パブリッシャー:Q-Games Ltd.
機種:PS5/PSVR2/PC
ジャンル:三人称探索型アクションゲーム
発売日:2025/10/10
価格(税込):3960円
『PixelJunk』シリーズで知られるQ-Gamesの最新作。
夢の世界を舞台にしたゲームで、銃を撃つと世界が創造されていくシステムが最大の特徴だ。撃つと物が壊れるのではなく、撃つと物が出現する。点の集合体で表現したビジュアル表現もインパクト大。
東京ゲームショウで初めて知ってこれは面白そうだ!と買ってみたが、実際遊ぶとかなり単調なゲーム。第一印象を上回る瞬間は来なかったぜ……。

物語はプレイヤーが操作する「パジャマの男」と、彼をサポートする「彷徨う軍人」の2人を中心に進む。夢の世界の住人たちと交流しながら最深部を目指す旅の中で、彼らの正体や関係が少しずつ明らかになっていく。

夢の世界はモヤモヤした泡に覆われているが、ここに銃を撃ち込むと……。

撃った部分がキューッと引き締まって建物や人、物が出現していく。出現したものに接触して物語を進めていく構成だ。
点や泡の集合体で表現され、常に揺れて変化し続けるビジュアルが圧巻。夢の世界の表現として非常に面白い。最初は抽象的だったフィールドが、撃ちまくっているうちに街や遊園地、水族館などに変化していくのは、プチプチを潰していくような気持ち良さがあるね。世界が破壊によって創造されていく!
普段ゲーム内で破壊行動ばかりしているゲーマーたちは、こういうゲームを遊んで創造する心を学びなさい!!!!

夢の世界ということでマスコットキャラや動物や無機物も喋り出す。
人間社会に関連した哲学的なボヤキやブラックジョークなど中心。

人間キャラも色々おかしくて、離婚した人の結婚指輪を集めてオブジェを作ったり、風船に付けて子供に渡したりするヤベーピエロも出て来る!

「彷徨う軍人」も場面が切り替わる度に色々やっていて夢の世界をエンジョイしてる。
軍人らしく匍匐前進してるのかと思いきや、自販機の下に小銭を落としただけだったり。遊園地の遊具で遊んでたり、犬と戯れてたり。俺より楽しそうじゃないか?

複数のエピソードが同時進行する構成で、地上を目指すモグラの話、動かないアトラクションばかりな遊園地の話、水族館から本当の海を目指す魚の話などがシャッフルされて進行し、定期的にパジャマの男が寝ているタイトル画面に戻される。
混濁した意識と夢からの覚醒を表現した演出になってるな。

しかし全体的にテンポが悪くて徐々に退屈な時間が長くなってくる。
遊んでいると武装が強化されていくゲームかと思いきや、初期装備であるライフルの攻撃力や連射力が上がったりはしない。
早い段階で攻撃範囲の広いグレネードが手に入り、中盤過ぎで更にテンション上がる武器も手に入るものの、どちらも弾数制限があるから全然撃ちまくれない。

落ちているガラクタを集めて「彷徨う軍人」に渡すことで、アップグレードや弾を貰える。しかし貰える弾は少ないし、アップグレードは「ダッシュがなんとなく早くなる」とかくらいで超ショボい。銃を撃ってモヤモヤを晴らすゲームなんだから、ダッシュより破壊力だよ! 「破壊なくして創造はない」を掲げてるのに破壊力が足りねぇ!
加えて……。
「フィールドのモヤモヤした部分を銃で撃つと、モヤモヤが晴れて探索できるようになる」
「夢なので頻繁に場面展開されて、その度にフィールドの状態がリセットされる」
この2つがまったく噛み合っておらず、豆鉄砲でチマチマ撃つ感じが強調されてじれったい。
複数のエピソードが同時進行して展開がぶつ切りで、1つのマップが狭い上に同じ場所に何度も来ることになる。また創造しなおしかよ……とうんざりしてくるぜ。
神の悩みみたいな言葉が出ちゃった。

同時進行するエピソードも単純に冗長。
探索を小刻みに挟んで会話を引き延ばしてる箇所が目立つし、「動き回る塊を撃つ」というボス戦っぽいシーンが節々に挟まるんだが、遊園地のエピソードだと複数のアトラクションでこれをやらされるので、かなり作業感が強い。

テキストもまったく合わなかった。
出会う「物」たちの言葉を集めてコレクションする要素があったりもするんだが、中途半端に人間臭いボヤキはどれもこれも薄っぺらく感じる。所詮は人間が見てる夢の産物か……。
まあ、ここは子供向け絵本みたいな世界観として楽しむべきなんだろうけども。
後半のロボットが出て来るエピソードや主人公の過去話なんかは結構好きではある。

クリアまで5時間ほど。
チマチマした破壊による創造行為に、狭いマップを何度も訪れる冗長なゲーム構成、人間社会のルールや価値観に縛られたことしか言わない無機物や動物たち。
夢の世界が舞台なのに破天荒さが無く、なんだかとっても窮屈なゲームだ。事前に思ってたゲームと大分違ったし、映像表現は見事なんだが、第一印象の衝撃を超えるようなシーンはまったくなかった。値段も3960円とお高め。
個人的にテキストが合わなかったのが大きいと思うし、VRで遊んだらまた違う印象になるかもしれないが、微妙なウォーキングシミュレーターに面倒な要素を付け足した作品という感想でした。