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【レビュー】「遅延行為」をゲーム化したような8580円のスゴロクRPG!『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』【PS5/PS4/Switch】

 

届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ

 

『届けろ!戦え!カラミティエンジェルズ』のレビュー行くぜ!

上に貼ったOPムービーだけ見たら今日は帰っても大丈夫です。

 

パブリッシャー:アイディアファクトリー

機種:PS5/PS4/Switch

ジャンル:配達+ファンタジーRPG

発売日:2025/6/26

価格:8580円

 

コンパイルハート&アイデアファクトリーの最新作で「配達」を題材にしたスゴロクRPGだ。定価8580円という、同日発売の配達ゲームである『デスストランディング2』より400円安いリーズナブルな価格。ルート選択をし、モンスターと戦いながら目的地に荷物をお届け!仲間はふざけた奴ばかりで主人公は苦労しっぱなし!というドタバタな内容。

仲間の機嫌次第で指示を無視したり、いきなりスゴい技が飛び出したりする戦闘システムも特徴となってる。

 

今年のコンパイルハートは完全新作をいっぱい出すらしいので、たまには付き合ってみるかと1発目である『スカーレッドサルベーション』に続いて2発目の本作を購入してみた。

 

俺のレビュー

【レビュー】ここ数年でワースト!8580円の虚無!『スカーレッドサルベーション』【PS5/PS4/PC】 - 絶対SIMPLE主義

 

で、1発目でいきなり即死攻撃が飛んできて、2発目で絶望が届けられたってわけ。

 

キャラデザ最高の問題児チームが、トップクラスの配達チームを目指すストーリー!


舞台となるのはモンスターが闊歩し、一般人は迂闊に街の外に出られない世界。

配達ギルドのリーダー試験に合格した主人公ユウリ(性別変更可能)が任せられたのは、悪名高い半人前チーム「カラミティエンジェルズ」だった!

まったく言うことを聞かない問題児たちに振り回されながらも、真面目に配達を続けるユウリ。しかし配達を続けるうちに大いなる陰謀に挑むことになる……。

 

というストーリーだ。

 

 

メンバーはいつも半分寝てる寝不足剣士ソムニア、打たれ弱いのに肉弾戦マニアの魔法使いイヴリス、お宝とお金に目が無いヒーラーのスレア、四六時中ビビってるパラディンのセルマ、アイドルで常に変な歌を歌いたがるアーチャーのルミナス、マッドな錬金術師のヌメロと賑やかな連中。

 

キャラデザがめっちゃ良くて、郵便配達員の制服をデザインに落とし込んでるユウリを筆頭に完成度が高い。

 

 

スレアはコテコテの関西弁&お宝大好きキャラなんだけど、頭がガマグチになっててポーチが宝箱で頭に¥マーク付いてるの面白い。

 

寝不足キャラのソムニアはアイマスクをズラしてアイパッチにしていて、フードのツノや服のモコモコで羊っぽさも出してる。

 

どういうキャラなのか一目で分かる記号を入れつつ、捻りを入れて魅力的にまとめるセンスが見事。

 


キャラはセルマが好き。デカいランス!重鎧!でも臆病!褐色!内側が青くなってる髪でグッと印象を引き締めてある。

 

 

常に脇を見せて来るルミナスもかわいい。ちゃんと胸当ても付けてるね。弓引く時にこれ付けないと最悪おっぱいがもげるからな……。

 

アイドルだけど田舎から出てきてるので、動揺するとドラゴンボールのチチみたいな喋り方になるのが良い。

 

 

サブキャラも魅力的なデザイン揃いで、飛脚を落とし込んでるランガスかっけぇ~!

今日はずっとバクアゲなキャラデザの話だけして帰りたいがそうもいかない……。

拠点で配達を受注!カバンに荷物を詰め込んで出発!

 

ゲームの流れは拠点となる配達ギルドで配達を受注。

各エリアに出発してゴール地点を目指す。

この繰り返しで、特定の配達のクリアなどでストーリーが進む。

配達を受注せずに出発して稼ぎプレイなども可能だ。

 

 

配達する荷物をカバンに詰め込んで出発!

デカい荷物だと回復アイテムを入れるスペースを減ったりするので、バランスを考える必要がある……と言いたいが、同じ種類のアイテムだったら沢山持っていけるのでスペースには余裕がある。実はあんまり考える必要は無い。

金と時間が無いのでこうなりましたという虚無スゴロクパート

 

配達パートはルーレットでマップを進むスゴロク形式。

お宝や回復といったプラス効果マスに、状態異常やステータスダウンなどのマイナス効果マス、ザコ戦マスなどがある。目的地前には強制ストップマスのボス戦が置かれていることも多い。

 

 

このスゴロクパートが「金も時間もないからフィールドとダンジョンを全部手抜きのスゴロクパートで代用しました!」という意思以外に何も感じられない虚無っぷりでスゴい!

 

どうでもいいイベントマスとザコ戦を並べただけの構成が延々と続くので面白味ゼロ……。ルート選択が重要っぽい説明だったが、最短ルートを目指す以外のメリットがほぼ無い。

 

 

ルーレットで1~2が異常に出やすいのでテンポ悪くてイライラする。

上のはあまりにも1を連発するので「目押ししなきゃダメなのか?」「演出スキップするタイミングをズラせばいいのか?」と考えながらやってる映像。

 

 

かと思ったら中盤過ぎるとルーレットの出目が物理的に1と2だけになって目を疑った。

ありえない、何かの間違いではないのか?

 

 

終盤はどんどんマップがクソになり、ルーレットで1~2しか出ない上にザコ戦マスと状態異常マスだらけかつ、どこに飛ぶか事前確認できないワープゾーンでエリアを繋いだ迷路ステージが登場。ラストダンジョンもこの流れで強制ストップマスでガチガチに固めて迷わせる構造だ。気が狂いそう!

 

 

終盤のクモの巣みたいなマップは見てるだけでウンザリするし、ボードゲーム形式にした面白みは1ミリも無く、プレイ時間の水増し以外に何も考えてない呆れた作り。これでよくアイディアファクトリーなんて社名を名乗れるな!

 

って、大昔『スペクトラルタワー』や『ジカンデファンタジア』遊んだ時も同じこと言った気がする……。

 

 

しかし救済措置もある!

中盤以降は出目を+1や+2出来るアイテムが買えるようになるぞ。拠点よりマップにあるショップの方が品ぞろえ良くてちょっと性能高いの買える。コラボアイテムであるぽすくまは4ターンの間6マス進めるチートアイテムでありがたい。

 

良かった、コラボ先の日本郵便が手抜きクソバランスの尻拭いをしてくれて解決ですね!

と言いたいが、ぽすくまは1個しか持てないし、後半は強制ストップマス&ワープゾーンが多すぎて焼け石に水なのが辛い……。99ターン99マス進めるアイテムが欲しかった。

 

クリア後は出目を+3出来るアイテムが店売りになるので、メインストーリーに関係ない配達はすべてクリア後に回した方が良いぞ!

「仲間が言うことを聞かない」の調理を大失敗してるテンポ最悪の戦闘

 

戦闘は3人パーティで行うオーソドックスなコマンド式。プレイヤーは主人公として3人に指示を出すが、キャラのテンションによって指示を確率で拒否する。好きな行動だとテンションが上がり、嫌いな行動だとテンションが下がる作り。

 

ほとんどのキャラがメインの攻撃を嫌がるので、テンションを上げる防御や回復系の行動をチマチマ行ってから攻撃指示を出さないといけないし、テンション高くてもたまに失敗するし、攻撃自体のミス判定も高いのでとにかく戦闘が長引く。

 

アタッカーが攻撃を嫌がって急に1~4ターン寝たりするソムニアと、攻撃をミスしやすい上に爬虫類・虫系の敵が相手だと攻撃拒否するセルマの2人という、嫌がらせみたいな性能付け!遊んでると仲間キャラがだんだん嫌いになってくる!

特定の敵相手にビビって不利になるのが許されるのはドラえもんのゲームだけだぞ!敵でネズミが出るとドラえもんが気絶するやつ!

 

好きな行動を分かりやすくするためだろうが、カーソル動かすたびにボイス喋るのも遊んでると煩わしく感じた。カーソル動かすたびに舌打ちするヌメロとか……。

 

とにかく戦闘を長引かせる要素ばかり山盛りで、バトルスピードを最大で2.5倍に出来るのにテンポ悪い!99倍速をよこせ!早くこのゲームを時間の彼方に置き去りにしろ!

 

 

指示拒否にもメリットはある。

特定の条件で発動するスペシャル技が各キャラにあり、中には「何度も指示拒否する」なども含まれている。スペシャル技は一発でザコを一掃することもあって強力!

 

ただ、各キャラに複数あるのに条件を事前に確認できない。もうすぐ何か発動する時に色が変わるだけ。条件をいちいちメモしないと有効活用は難しいし、そもそも狙ってやるのが難しい物が多数。なんだかよく分からないうちに発動することも多い。

 

スペシャル技は強制発動で演出スキップ出来ないのに成功率の低い技、効果の低い技ばかりなので「敵が4体いる時に、確率の低い単体即死スペシャル技を出すなら普通にスキル使えや!」とイライラすることも。

 

 

戦闘中にルミナスがカエルなどのモンスターに変身する時があり、その時に爬虫類・虫系が苦手なセルマがパーティにいると、ブチキレて強力な全体攻撃を発動する。カエル化は弱くなるだけだが、セルマの暴れっぷりでお釣りがくるくらいには強力。

こういう仲間キャラのハチャメチャな行動を組み合わせて、戦闘を有利に出来るコンボが沢山あったら面白そうだったけど、遊んだ限りだとコンボはこの1種類だけだった……。

 

「指示を無視されるストレスと、そこからの一発逆転による解放感」のバランスが悪すぎて、すぐ倒せるようなザコ相手でも時間が掛かる。キャラの好感度を上げれば言うことを聞いてくれるみたいな要素もなく、最後までずっとこの調子だ。

 

RPGだがキャラの育成も楽しくない。

装備の種類が少なく、基本的にシナリオが進んだらショップで1ランク上に買い替えるだけ。キャラのステータスや覚えるスキルはチーム全体の配達ランクで決まり、これはシナリオ進行+経験値の量で上昇する。

 

つまり経験値があってもシナリオが進まないと新しいスキルなどは覚えないし、経験値は遊んでるとめちゃくちゃ余る。なのでスゴロクマップの都合で何度も行うザコ戦はほぼ無駄。ここも遊んでて疲れるところ。クリアするとランクがMAXになるので、クリア後の高難易度配達はすべて経験値が無駄になる。

配達の必然性が薄く、キャラの魅力も今一つなシナリオ

 

シナリオも今一つ。

アイテムを届けても軽いお礼の言葉を言われるくらいなので「配達」要素が薄く感じるし、全体的に「配達ギルド」ではなく「冒険者ギルド」の話でも成立するようなシナリオ。

 

仲間のイベントは色々あるんだけど薄めの過去話ばかりで、協力して難関を突破するとか、意外なキャラがピンチを救うとか、ダメダメなキャラが成長して見せ場を作るとか、そういう「今」を描いた展開がほぼ無い。コミカルなやり取りが多いわりに、あんまりキャラの魅力が深まらないのはその辺に問題ある。問題児だらけの半人前チームが一人前に!って盛り上がりが全然ない。

 

 

「オレより強い奴に会いに行く!」を連発するイヴリスとか、そんなに多いわけでもないパロネタも厳しいぜ……。

 

 

チーム内唯一の男性キャラだが、ずっと舌打ちしてて口癖が「クソがぁ…」でデレも少ないヌメロも、単に態度悪いだけで全然好きになれなかった。

 

 

配達が軸の世界観なので野盗の事を「不届き者」って呼ぶセンスとかは好きだったし、そこら辺にポスト型の遺物が埋まっている風景や、荷物に込もった想いの力を物理的なエネルギーとして活用する社会も面白みがある。が、その辺も含めて全部安いおふざけで終わる打ち切りマンガみたいなシナリオ。真面目に考えるだけ損するぜ!

 

推しキャラ壁紙メーカーとは!?

 

 

OPとキャラデザ以外で面白かったのは「推しキャラ壁紙メーカー」というおまけ機能。

キャラの立ち絵や戦闘中のチビキャラ、モンスターのイラスト、背景などを組み合わせて、自分だけの壁紙を作成できるのだ。

 


チビキャラを全員分並べたり、同じキャラだけで埋め尽くしたりするのも面白いね。

こんなところ凝るなら他に凝るところあるとか言っちゃダメだぞ!

 

こんなところ凝るなら他に凝るとこあるだろ!!!!!!!!!!

低ボリューム高ストレスの遅延行為RPG!

 

クリア後サブクエストまで全部終わらせて19時間ほど。メインストーリークリアだけなら13時間も掛からないかな?プレイ時間だけ見るとRPGとしてはかなり低ボリュームなのに、ゲームのテンポを悪化させる要素があまりに多く、遊んでいる間は砂漠を彷徨ってる気分だった。配達ではなく遅延行為をゲーム化したような内容である。

 

「アイデアファクトリー、奴に悲鳴を上げさせてやれ!」

「コンパイルハート、奴に絶望を届けてやれ!」

 

そんな『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』みたいな合わせ技で俺が爆死!

キャラデザだけは120点だが、RPGとしてはまともに面白いものを作る気が無いとしか思えない。個人的にこういうやる気自体が感じられないゲームは厳しく評価する。

 

フルプライスなのにプレイ時間の水増ししか考えてないようなゲームは度々あるが、このレベルで酷いのは『スカーレッドサルベーション』以来かな……最近だな……同じメーカーだな……。

 

『スカーレッドサルベーション』に比べたら本作の方が大分面白いけど、その比較に意味など無いッ!8月の『魔法司書アリアナ』を買ったら、シューティングゲーム以外のコンパイルハートの新作はもう買わないぞ!